【「若者よ、厚い壁を打ち破ってほしい」と上地市長は言うけれど】(2020年8月31日 本会議 加藤ゆうすけ一般質問その①)

 8月31日の本会議にて、一般質問を行いました。

 今回は、大きく分けて2つありまして、今回は一つ目の自治体若者政策についての部分を報告します。

■自治体若者政策とは?

 一般質問の冒頭でも申し上げたのですが、自治体若者政策は、若者の自立を進め、「大人」への移行をスムーズに行うための社会的システムを構築するものとされ、若者の自己形成・経済的自立・社会的自立(または社会参加)の全体に及ぶとされています[1]

 つまり、ひきこもり・ニート・ワーキングプア、みたいなテーマだけが取り出されて若者政策なわけではなく、もっと総合的で、多岐にわたるものです。

 そして、「若者」というくくりは、実はものすごく曖昧で、色々な法律や施策によって想定が違ったりもします。進学率の上昇などで「子ども」から「大人」への移行期間としての「若者」期間が長くなり、様々な困難があるにもかかわらず、「若者」を巡る課題は、どこか置き去りにされてきたように思っています。相模女子大学元教授の松下啓一先生が「人口減少、少子高齢社会を迎える時、次の時代の担い手である若者を無視しては、自治やまちが継続しないのは明らかである」と喝破しているんですが、もう、本当に、その通りなわけで、だからこそ私も2期目を迎えるにあたって掲げた政策集の大上段に「基本方策 . 政策実現への近道 =「 若者支援 」」と記し、活動してきました。今回は、そんな思いも詰まった、質問の機会でした。


[1] 松下啓一・穂積亮次, 2017, 『自治体若者政策・愛知県新城市の挑戦』萌書房

■「若者よ、厚い壁を打ち破ってほしい」と上地市長は言うけれど

 今回の質疑の模様は、以下紹介する上地市長とのやりとりに、象徴されているように思います。※当日の本会議の録画から、加藤ゆうすけが書き起こしました。

ーー以下、書き起こしーー

<若者の意思表明機会を確保する必要性について>

▽加藤

 目指す方向は市長も私も同じだとは思うが、過程については、市長にこの機会に伝え、答弁いただきたい。自己の意見表明の権利は年齢を問わず等しく保障されていると答弁いただいた。過程において、制度や仕組みではなくてと市長はおっしゃったが、私は、制度や仕組みが先にできて、その中で周りの組織風土や意識が変わる効果が期待できると思って、今回は、審議会委員へ(若者を)含めていただきたい、オンライン開催可能化し自由度高く参加できるようにしてほしい、などと求めている。若者の意思表明の機会というのは、若者の声をきいてますよというアリバイ作りに終わってしまう事例がたくさんあった。これは決して横須賀市に限った話ではない。参加し、意見しても何も事態は変わらないという制度や仕組みや構造がそこにあれば、次の横須賀をつくっていこうという若者であったとしても、その雰囲気を敏感に感じ取り、やがて去ってしまう。だからこそ、意見表明の機会・権利を確保するととともに、その意見がまちづくりに実際に取り入れられる制度・仕組みをつくることが重要だと思いますが、この点いかがでしょうか。

●上地市長 権利だとか義務ではなくて、個が、個人が、何を考えて何をしたいかということだけが、私は問題だと思っているんですね。そのために、制度や仕組みを変えていくべきところがあるのならば、どんどん変えていかなければならないし。ただ、民主主義だから、若者の意見、たとえば多数決の論理の中では、多数をとらなければならないという理屈はあります。ただ、発想だとか、感性だとか、これは若い人たちにはかなうわけがない。時代の流れに関して。これに関しては、どんどん取り入れていかなければならないと思う。ところが、行政というのは、今でも悩んでいるのは、感性や、それから今言ったような、感じたものを直接反映する場面がないんです。あるいは政策作ったり、何かをつくったときに、平均的なもので、こういう仕様のものでこういうものをやらねばならないという、これ議決がなければならない。だからこそ私はアナーキーだった。私がやりたいことはこうだから、これつくらなければだめだと。実はそういうエネルギーというか、そういう若い人たちが出てこない限り、世の中私は決して変わらないと思っている。厚い壁を、ぜひうち破ってほしいと思っているし、そのための用意は、いつも私は、用意しているつもりです

ーー以上、書き起こし終わりーー

 上地市長が若者だった頃と今の人口構造を比べれば、そもそも若者の数が少なく、また経済状況も「今日より明日はきっとよくなる」感覚にはありません。その中で、まず若者が行動し希望を持って厚い壁を打ち破ってほしいとのメッセージは、若者にはなかなか響かないと、私は考えています。まず、制度や仕組みを変えて、若者の入れる枠をつくって、そこから意識や風土が変わっていくのだと、私は思っています。

 言葉を尽くして、これからも様々な形で、自治体若者政策の必要性と有用性を市執行機関には伝え、政策実現を求めていきたいところです。

【当日の発言通告書・読み上げた一問目の原稿・2問目以降のやりとりを書き起こしたものを以下からダウンロードできます】