【補正予算・学童関連の条例改正・保育ママ訴訟への控訴】(2020年6月1日 6月臨時議会)

【補正予算・学童クラブ関連の条例改正・保育ママ訴訟への控訴】(2020年6月1日 6月臨時議会)

6月1日、臨時議会を開会し、議案3件(補正予算・学童クラブ関連の条例改正・保育ママ訴訟への控訴)を審査しました。

■23億円を増額補正、一般会計予算総額は2,051億円に

 4月30日の増額補正(当初予算+450億円)に加え、今回も新型コロナウイルス感染症対策のための補正予算が計上され、審査の上、可決しました。今回23億1,931万1千円増額し、一般会計予算総額は2,051億9,309万円となりました。

 今回の補正の考え方として、市長から大きく(1)感染拡大防止 (2)雇用の維持と事業の継続 (3)地域活動の回復 (4)新たな生活様式への対応 の4点が示され、補正予算議案中のそれぞれの部分を所管する予算決算常任委員会分科会に分けて送付されました。

画像:議案説明資料より引用
画像:議案説明資料より引用
画像:議案説明資料より引用
画像:議案説明資料より引用

■教育福祉分科会への送付部分でいくつか

給付金の支給など、生活直結の内容が多かった教育福祉分科会を傍聴し、いくつか質疑で明らかになったことを以下紹介します。

●ひとり親世帯等臨時特別給付金は、6月29日支給を目指す

報道でも話題になっている、ひとり親世帯のうち、所得の低い世帯を対象とする給付金事業です。国の事業の仕組みがはっきりしない中ですが、はっきりしない中でも準備が市独自に進められる、児童扶養手当を既に受けている世帯への振り込みを優先して仕組み化するそうで、そうなると6月29日には支給できる見込みとのことでした。

●市立学校には全学級に体温計を買う

非接触型の体温計を、市立学校全学級に購入します。全国一斉に同じ事態になっていますが、答弁では、速やかに整備できるようでした。

●給食室にはスポットクーラーを追加でつける

 「え?まだないの?」と思われる方もいるでしょうが、今もありますが、7月末まで給食を今回やるにあたって、追加整備するとのことです。暑い盛りの7月末に給食をつくるのは初めてですから、酷暑を想定した対応は必須です。

●8月の授業日、給食は食中毒への懸念から、やらない。(8月31日から給食再開)

 報道にある通り、市立小中学校は授業時間の不足を補うため夏休みを短縮し、8月も授業を行います。夏休みは8月6日から8月17日の12日間。

 8月の授業日に給食を提供せず午前中授業としたことについては、教育委員会から、「食中毒への懸念から給食を提供しない」「児童の体力に関する懸念から半日授業とした」と答弁がありました。(なお、給食再開は8月31日です。)

■学童クラブ関連の条例改正

 法改正で、放課後児童支援員の資格要件として修了しなければならない研修を、中核市も行えるようになったため、法律に合わせて条例を変えます。

 しかし、新型コロナウイルス対策で、そもそも研修が開催できないため、経過措置として、放課後児童支援員の基礎資格 を有する 認定資格研修修了予定者を、2021年3月31日まで 放課後児童支援員とみなすことができるよう規定を設けます。

 立法の際、「経過措置」というのはしばしば設けられるものなので、これには異論ありません。

■保育ママ訴訟への控訴

約10年前、本市で起きた痛ましい事故に関する裁判です。

背景の概要と、控訴の理由は、議案説明資料からそのまま引用します:

「背景の概要

平成22年9月27日15時ごろ家庭保育福祉員宅において、乳児(当時4か月)が心肺停止となり救急搬送されました。家庭保育福祉員がミルクを与えようと昼寝中の乳児を起こそうとした際に、異変に気付き救急通報しましたが、搬送先の病院にて死亡が確認されたものです。
 この事故に係る損害賠償請求事件の判決において、横須賀市と保育を実施していた家庭保育福祉員は、連帯して5256万9717円を支払えとされたことについて、横須賀市敗訴部分について控訴するものです。」

「控訴の理由

判決では、事故当時までに、0歳児については、5分から少なくとも10 分に1回の睡眠時チェックを行うべきとの知見があったにもかかわらず 、15 分間隔で睡眠チェックを行うという知見に則さない指導研修を家庭保育福祉員に実施して いた以上 、指導研修義務を尽くしたとは言えず、指導研修実施義務違反としての違法な公権力の行使があったと認定されました。

当該認定は事実と異なるものであると判断するため 、控訴するものです。」

―――引用終わり―――

■質疑では、「知見」とは何か、が問われました。

 痛ましい事故であり、人命が失われた事実は、裁判の判決如何で何ら変化するものではありません。その点については、市長も本会議冒頭でお悔やみ申し上げていた通りです。

 しかし、あるべき「知見」が何なのかという点について、事故当時、横須賀市の保育において共有されていたものが、間違っていたのか、あるいは正しかったのかの判断は、裁判にゆだねるべきものと考えます。

 今回の質疑で言えば、睡眠時のチェックを何分頻度で行うべきだったのかの「知見」の出典が、市側とご遺族側で異なりますから、この点、第一審では市側の依拠した知見が間違っており、それをもとに指導したのは違法だとの判決でした。これに対し、再度の判断を司法にあおぐ意味での控訴であり、控訴するという市の判断に対して、議会として賛成多数で可決しました。

■その他気になること

 国の第2次補正予算によって、本市にいくら臨時交付金(正式には新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金)が入るのか、実はまだわかっていません。しかも、まだ6月であり、今年度はまだあと9か月もあります。全世界が大混乱の最中ですから、年度内のお金の動きがまだまだありえます。

 私の尊敬するかたが、「悲観的すぎると言われるかもしれませんが、2020-2021は世界にとっておそらくこれまでで最も困難な冬が来ます。夏にやってくる特需は、それに備えるラストチャンスとなるはずです」とおっしゃっていましたが、私もそれを感じています。もともと財政状況が厳しい中で、緊急事態につき、異例の財政出動を国を挙げてやっているわけです。その反動は必ずやってきます。必要な施策は着実に市に求めていくのと並行して、見直すべき施策についても厳しく確認し、新しい社会づくりを行います。

※補足

なお、前回の補正(第1号。4月30日)時点で私は総務常任委員会の所属でしたが、年度変わって現在は、都市整備常任委員会の副委員長です。今回の議案には都市整備常任委員会に送付されるものがないため開会せず、この日開かれた会議としては、私は議会運営委員会・予算決算常任委員会・本会議に出席しました。