【財政調整基金から20億円を積み立てることの意味】(2020年4月30日 4月臨時議会)

【財政調整基金から20億円を積み立てることの意味】(2020年4月30日 4月臨時議会)

4月30日に開会した4月臨時議会の報告です。

当初予算に450億7,351万9千円増額し、一般会計予算総額を2,028億7,351万9千円とする補正予算案等7議案を可決しました。いうまでもなく、前例のない大きな金額の補正予算です。

このうち、特別定額給付金(国民一人10万円給付)が補正額の9割(約406億円)を占めます。なお、給付金の郵送申請は5月中旬、支給は早くても5月下旬以降となる見込みです。

また、市独自施策「中小企業等家賃支援補助金」には、153,803万円が計上されました。新型コロナウイルス感染流行により大幅に売上が減少した市内中小企業等を支援するため、事業所等の家賃の一部を助成する制度です。

■本会議の概要(市議会webページより)

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/7860/council/result_report/giji/r02/4rinji/documents/200430gaiyou.pdf

■議案市長提案説明(第53~59号)(市議会webページより)

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/7860/council/result_report/giji/r02/4rinji/documents/200430teiansetumei.pdf

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■財政調整基金から20億円を積み立てることの意味

今回の臨時議会で可決した議案には、新設する「新型コロナウイルス感染症緊急対策基金」への積立金20億円を、財政調整基金を取り崩して捻出する決定も含まれます。

財政調整基金とは、健全な財政運営のため、財源が不足する際に取り崩し、余ったら積み立てる「市の貯金」です。その年の収入が大きく減少した場合や、一時期に多額の経費がかかる場合などの不測の事態に備え積み立てているお金とも言えます。

今回、これを年度途中に追加で取り崩すわけです。かなり大きな決定です。

財政調整基金を巡る見通しは、「財政基本計画」という、市の中長期的な財政見通しをたてる資料に詳しいので、ご覧いただきたいと思います。

■第3次財政基本計画(計画期間2018年度~2021年度)17ページ~、38ページ~、50ページ~にあります

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/1610/finas/keikaku/documents/dai3jizaiseikihonkeikaku.pdf

20050701

39ページの図をご覧いただくとわかりますが、2018年時点での予測で、2020年度当初予算での基金取り崩し額見込みは44.7億円でしたが、そもそもこれが実際2020年度予算を組んでみたら、52.2億円となっていました。

20050702

財政調整基金の残高は、

①当初予算で取り崩す→②前年度決算が確定(10月)し、残額が出たら、積み増す→③年度末に近づいて「これは不要だったな」という予算が見えてきたら、補正予算を組んで「当初予算で取り崩すはずだった金額」を減額する

というような流れで、たいていの場合、当初予算で取り崩した金額ほどは減りません。

ですが、当初想定したよりも20億円も多く取り崩すこと、今世界が置かれている状況を見れば個人・法人問わず経済状況が苦しい中で来年度の市税収入が減ると予測されることなどを考えれば、もともと厳しいと見込まれていた本市の財政調整基金のありかたが、さらに厳しさを増すだろう…とみなさんも想定しますよね?

世界的な緊急事態の中、何とかして、経済的支援を市が打ち出そうとする中で、今回の取り崩しは止むを得ないものと私は受け止めています。しかし、後年度の財政への影響は、大いに懸念されます。そのため、総務分科会において、質疑しました。

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▽=加藤ゆうすけ ●=市執行部

▽財政調整基金は、昨年度末残高103.2億円-今年度取崩額52.2億円=今年度末残高見込51.0億円、と当初予算時点で示された。追加で20億円取崩すと、単純計算では年度末残高見込は31.0億円。今わかる範囲で見込みを伺いたい。

●昨年度決算の結果、残高が出れば財政調整基金に積み増す。今年度取崩額についても、最終補正の段階で「思ったよりも使わなかった」ともなりうる。31.0億円までは減らないと見込んでいるが、いくらになるか現時点ではわからない。

 

▽財政調整基金のありかたは、後年度の財政運営に与える影響がものすごく大きい。後年度の財政調整基金残高の推移に与える影響の見込みについて、所見を問う。

●年度途中の財政調整基金からの取崩しの追加という異例の事態。一方で、様々な事業の中止、当初の予定通りに事業が執行できない要素もある。加えて、市役所自身も様々な見直しを行わねばならない。本市財政から言えば、財政調整基金の果たす役割は非常に大きい。今後、昨年度決算の数値も見据え、対策を考えたい。