【公共施設の見直し、もっと前のめりにやらないで大丈夫?】(2020年8月31日 本会議 加藤ゆうすけ一般質問その②)

【公共施設の見直し、もっと前のめりにやらないで大丈夫?】(2020年8月31日 本会議 加藤ゆうすけ一般質問その②)

9月定例議会の様子、今回は加藤ゆうすけ一般質問その2です。

前半部分(自治体若者政策について)に続き、今回は後半部分「現状に即した公共施設の在り方について」です。

今回の質疑の結果を一言で言うと、

「コロナ禍で財政難は必至だからもっと前のめりにやらないで本当に大丈夫なの?と加藤ゆうすけは聞いたけれど、上地市長の答弁は、あんまり前のめりじゃなかった」

です。

■なぜ今、公共施設のありかたを問うたのか

 コロナ禍が、本市の財政状況に大きく影響を与えています。次年度以降の財政状況を考えれば、今、さらに改革を進めねばならないものはたくさんあります。今回は、その一つとして、財政に与える影響が大きい「公共施設の在り方」を取り上げ、質疑しました。

 横須賀市の公共施設のありかたについては、「FM戦略プラン」という計画が2019年7月に出来上がっています。

FM戦略プラン https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/1617/koukyoushisetsuhozennshisutemu/documents/fmsennryakuplan.html

 今回質疑したのは、要するに、「コロナ禍で財政難は必至だけど、FM戦略プランに書かれた改革をもっと早め早めにやらないで、本当に大丈夫なの?」ということです。

■具体的には、プランで廃止・複合化とした施設を、早く廃止・複合化せねばならないのでは?という問いかけ

 FM戦略プランの計画期間は 2019年度から2029年度の11年間であり、かつ市総合計画(基本構想・基本計画・実施計画)の策定状況に応じて計画の見直しを行う旨がプランにも明記されています。ちょうどいま、2022年度から始まる次期基本構想・基本計画の策定作業を行っていますから、どこかで見直しはするのでしょうが、それでは遅いと私は思うのです。

 例えば、(この質疑後ですが)9月9日の基本構想基本計画策定特別委員会で財務部から示された資料を見ても、来年度(2021年度)当初予算編成時点で、財政調整基金の基金残高が、財源不足額を下回ります。かなり厳しめに予算を見直さねば、お金が足らないわけです。

 「予算の見直し」とは、すなわち、何かをやめることです。何をやめるかといえば、市の事業です。「老朽化しているから廃止する」と明記したプランが既にあるのだから、それを早くやらねばなりません。

■上地市長の答弁は、そこまで前のめりではなかった

こうした観点からの質問に対し、上地市長からの答弁が、そこまで前のめりではありませんでした。

(1) 「FM戦略プラン」に設定した縮減目標の前倒しの必要性について

ーーーー以下、答弁を加藤ゆうすけが聞き書きーーーー

●上地市長 

 新型コロナウイルスの影響で、財政状況が厳しくなることはご指摘の通り。しかし、一時的に財政が悪化することをもって、真っ先に市民サービスを削減することは順番がちがうと思います。行政の役割としては、苦しい時だからこそ、市民の暮らし・地域経済のために、できる限りの力を尽くすべきだと思います。今後の財政の悪化に対しては、まずは徹底した内部経費の見直しで対処すべき。多くの市民が利用する公共施設は、まさに市民サービスに直結しています。その在り方は、街づくりの大きな視点から論ずるべきであって、時の社会情勢の変化や、財政状況の悪化などの近視眼的理由だけで論じるべきではない。したがって、縮減目標の前倒しは考えていない

ーーー聞き書き終わりーーー

 続いて、2問目の一問一答でも補完しました。

ーーーーー以下、加藤聞き書きーーーー

▽加藤
一次的な財政悪化をもって真っ先に市民サービスを削減するのは違うというのは市長がおっしゃる通りだが、将来推計を見たうえで、FM戦略プランに取り組む中で、次年度、新型コロナウイルス感染症対応の中で、かなり厳しいのではないかという思いで日々市の事業に向き合っているつもりでいる。そういった状況であるならば、少し早回ししてFM戦略プランに取り組んでもいいのではないか。

●上地市長
ありがとうございます。おっしゃる意味がよくわかりました。どういう状況になるのか、全く予断を許さない状況にある。心配なのは一人当たりの所得の減り、生活保護の方も増えるでしょう。様々な社会不安が惹起される中で、果たしてFM戦略プランを早めることがよいのかどうか、実は悩んでいる。まずは、自らの内部改革、行政改革でできるだけのことをしていくのが、私は、先決なのではないか、先にやらねばならないのではないかと思っています。まだ底は見えない。ご理解いただきたい。

▽加藤
それこそ、乾いたぞうきんを絞るような内部改革の取り組みは、これまでも市役所の方が一丸となって取り組んでいることは理解しており、感謝している。特に、FM戦略プランの中でも、老朽化に伴うものは待ったなしだと思う。施設の急な破損に伴う修繕は、各定例議会でもしばしば報告がありますが、台風の大型化・強力化で、単に老朽化したからだけではない破損もおこりえます。ある日突然使えなくなるのではなく、居場所機能の移転をしっかり住民と熟議の上、進めるためにも、ぜひ一層のご尽力をと思いますが、いかがでしょうか。

●上地市長
当然、安心・安全、状況に合わせ前倒しする可能性もあるが、全てを前倒しするという意味ではない点はご理解いただきたい。

----聞き書き終わりーーーー

 質疑の中で、やはり私としては、もっと前のめりにならないと、本当に厳しいぞ・・・?という感覚がぬぐえませんでした。なお、この質疑ののち、9月7日の総務常任委員会にて示された2021年度予算編成方針を読んでも、「積極投資」の威勢のいい表現が並び、今一つ、前のめりな見直しを感じられませんでした。

■実はさかのぼること1年前に、この質問のきっかけがありました

 今回の質疑、もちろんコロナ禍を前に一層の危機感を持ったのでおこなったのですが、実は、1年前から、会派でも議論を重ねて共有していました。

 そのきっかけが、秋谷の老人福祉センターを会派で見学した際のこと。

秋谷老人福祉センターは、市webサイトの施設概要によると、

「60歳以上の高齢者の方が、健康で明るく、楽しく一日をゆっくりと過ごしていただくための施設です。
将棋、囲碁、マッサージ機、スカイウェル、入浴、カラオケ、機能回復訓練室、図書室、教養娯楽室、静養室、研修室、会議室、大広間などが無料で利用できます。」とあります。

 この施設は、FM戦略プランで、すでに老朽化を理由とした廃止施設に位置付けられており、現状を見るために2019年9月に見学しました。

 そして、これは今回の質疑でも取り上げたのですが、、、

 その際に、「カラオケの曲の順番を整理しているだけの職員」がいらっしゃったのです。

 財政状況は厳しく、市が本当にやらねばならないことは何なのかを問い直す際に、既に老朽化による廃止が決まっている施設で、カラオケの曲の順番を整理しているだけの職員がいるっていうのは、看過できないよね…とその際に会派でも議論がでていました。

 秋谷老人福祉センターはあくまでも具体的な施設の一例で、このほかにも、見直さざるを得ない部分はあります。来年度以降の横須賀市が、真に必要な事業を行うためのものです。市執行部にも質疑を通じてさらなる取組みを求めていきますが、一方で、結果的には市民サービスを削減することになるわけですから、私からも皆さんに説明し続けなければならないと思っています。