【災害時に、より弱い立場におかれるかたがたの保護のために】(2022年3月定例議会 代表質問その9および委員会審査)

東日本大震災から11年経過する今、まさか大国による他国への武力侵攻という事態が発生するとは思ってもいませんでした。日々テレビで目にする、弱い立場に置かれた国民の人権が蹂躙されるさまに、心を痛めています。

戦争と大災害はもちろん性質を異にしますが、より弱い立場におかれるかたをいかに守るか、平時から真剣に検討しなければならない点は同じです。

これまで、災害時要援護者をいかに守るか、特に3次福祉避難所に直接避難できるようにしてほしい、と加藤ゆうすけが求め続けてきました。

●参考:【福祉避難所のありかたについて一般質問などで市に提案してきたもののなかなか変わらなかったが、ここへきて国がガラッと方針を変えたので市も変わりそうな予感】(2021年6月9日 生活環境常任委員会)

●参考:【福祉避難所の在り方のその後~地域防災計画の改訂作業が進んでいます】(2021年9月6日 生活環境常任委員会 )

この点の経過確認も含めて、以下代表質問および委員会審査で、質疑しました。

その結果、具体的には、

・災害時要援護者名簿の情報の更新の確認呼びかけをします

・災害時要援護者という仕組み自体を知らない可能性のある障害児の保護者に養護学校でも呼びかけます

・福祉避難所の指定・公示などについて、引き続き前に進めます

というように、前進と受け止めてもよい答弁がありました。

「より弱い立場」にピンとこないかたも、きっとこの文章の読み手の方にはいらっしゃると思います。

しかし、ある日突然「より弱い立場」に置かれる可能性は、誰にだってあります。

少しずつ、手を差し伸べられるまちになればいいなと思います。

―――――――代表質問 質疑の引用――――――

(3) 災害時の人権・公衆衛生について

ア 避難所でのより弱い立場にさらされる方々の保護のための防災政策について

▽加藤

先ほど、ジェンダー主流化の考え方に基づく政策形成について質問しました。防災の取り組みにも、ジェンダー主流化の考えはあるべきで、ジェンダーだけではない、障害福祉、高齢福祉、児童福祉など、多角的視点が不可欠です。災害時には、普段弱い立場にある人が、より一層様々な危機にさらされます。

例えば、2015年、東日本大震災の被災地で開催された第3回国連防災世界会議では、東日本大震災時の避難所が、女性のプライバシー確保、トイレの安全性について徹底されていなかったと指摘されていました19。思春期の女性であれば、女性であり・かつ子どもであるという二重に弱い立場に置かれており、災害時における彼女らのニーズが認識されていないとの指摘もありました。

そこで伺います。災害時、避難所において、男性の視線が怖くてトイレに行けない、セキュリティが無いため眠れない、困ったことがあるが子どもだから言い出せない、障害をお持ちの方においては避難所のトイレではそもそも利用ができない、などの課題が生じないよう、より弱い立場にさらされる方々の保護のための防災政策について、市長のお考えを伺います。

●上地市長

 次に、災害時の人権についてです。

 女性や子ども、障害をお持ちの方など、弱い立場にさらされる方々の不安の解消に努めることは私が常日頃から心がけていることであり、それも含めて誰も一人にさせないまちの実現を目指しています。当然のことながら、災害時であってもその思いは何ら変わることなく、弱い立場にある方々はもちろん、全ての人々にできることは全てやっていくという思いで防災政策を進めてまいります。

―――――――代表質問 質疑の引用終了――――――

―――――3月4日生活環境分科会 質疑の引用―――――

▽p.85 (1)災害予防対策事業 ①災害時要援護者支援対策の推進

▽加藤

災害時要援護者支援は、市民部と福祉部が共同で実施していると思います。昨年9月定例議会で、災害時要援護者名簿の情報の更新の呼びかけがどのように行われているのか伺いましたが、その後福祉部とやり取りされる中で、次年度に向けて何か進展はありましたでしょうか。

●危機管理課長

9月にいただいた件は覚えております。その情報は福祉部にも話をしております。お願いするだけではなく、我々も何かできないかと考えまして、名簿の更新を、新しいかたの名簿がでたり、亡くなった方がいたり、更新を毎年しております。更新があると、新たな名簿を各町内会に送りますが、既存の名簿の方も、情報が古くなっていないかの確認のご協力は、お願いはできるのではないかと考えまして、来年度そういうことをやっていきたいと思っております。

▽加藤

ありがとうございます。要援護者となっているかたが望むのは、一年に一度だけでもいので、そのかたの心身・生活の状態確認を行ってもらえれば、ということもあるのです。今前向きなお言葉いただきましたのでうれしく思います。

そして、要援護者の名簿の仕組みを知らない方もたくさんいらっしゃいまして、特に、学齢期の障害児を育てる核家族、とかですと、どうしても保護者が地域のかたと接点を持つ暇もないくらい、いっぱいいっぱいで、災害時避難所開設訓練には参加する余裕はなく、要援護者支援プランの存在すら知らずというケースもあります。この点は、福祉部と密に連携し、そうしたなかなか接点を持てないかたがたに対して、例えば障害児のかたの関わる学校から要援護者支援プランの周知を投げかけてもらうですとか、複数部局でともにご尽力いただけないでしょうか。

●危機管理課長

ご提案ありがとうございます。私も、おもうところがございました。危機管理課職員は市内市立学校に学校防災連絡員として各学校1人危機管理課職員が出向いていく制度があるのですが、私も担当を持っており、養護学校を担当しております。今ご提案の内容については、年1回必ず校長と面談しますので、そういったニーズがあったのですよとぜひお話ししたいと思います。

▽加藤

また、まもなく横須賀市防災会議も開催されて、地域防災計画が改訂されます。これまでも伺ってきたことですが、今回の改定案、パブリックコメント手続き時点の中で、「令和3年5月の災害対策基本法改正をふまえ、『横須賀市災害時要援護者支援プラン』の見直しについて検討を進める」[1]として、この点は国の見直しに併せて前に進める方向でご議論いただいているかと思います。また、福祉避難所についても、「福祉避難所の指定・公示などについて検討を進める」ということで、前進を期待しているところですが、次年度どのように福祉部と連携しながらこの点検討を進めていくのかですとか、そして危機管理課が市長室へ移管されることで何か前向きな変化は次年度に向けてあるのか、伺いたいと思います。

●危機管理課長

まず、9月の委員会でも質問いただいたかと思っております。その後、10月末に福祉部障害福祉課のご紹介で、団体さんの会議に参加いたしました。その中で、今回の法改正の意義、福祉施設が受け入れる対象のかたを特定できるのですよ、受け入れるかたはその本人とご家族なのですよ、もう一点、公示の方法として広くこの福祉施設が福祉避難所になるよと公示しますが、市が特定したものを受け入れ対象とするのですと強く説明しました。これは、福祉施設側がいろんな人が避難してきてしまうということを危惧している点を少しでもこういう制度で選べるのだと知っていただくためにお話ししました。

私も団体の会議に参加するのが初めてだったので、少し皆さんの受け止めが、どのように受け止めていただいたかは感覚がつかめないところがあったのですが、否定するご意見はいただかなかったので、いい方向でとらえていただいたのかなと思っています。今後も、福祉部とは一緒にやっていかなければ、我々単独ではうまくいかない事業と思っておりますので、市長室に行っても変わらず取り組んでいきたいと思っております。

▽加藤

やはり、三次福祉避難所に直接行けるようになる、というのが私としてはめざしていただきたいところです。ご所見をおねがいします。

●市民部長

いまおっしゃられたように、まず地域防災計画の見直し、防災会議がこの3月にございます。まずここがスタートかなと思っています。先ほど障害のあるお子様の学校との情報共有のお話、ありがとうございます。まさに要援護者名簿からスタートして、体系的にご説明できるところまで整えばですね、ぜひ全体像を網羅的にご説明いたしまして、何かあればどういう流れの中で避難すればいいか、ご家族はどのように誘導すればよいか、お伝えできるところまでまとまらないとなかなかまだ言いにくいところはありますが、我々が今検討していることも含めてお話させていただきながら、我々のできること・考えていることと、求められていること・ニーズが違うことも多々あると思いますので、きちんとお話をする中で、今後の方向性、できるところから着手したいと考えています。


[1] 横須賀市(2021)「横須賀市地域防災計画地震災害対策計画編(新旧対照表)」,pp.21 https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/1210/cof/386/documents/386_shiryou2.pdf